家具付マンションの驚きの技術
月見台の家は、隣の敷地を購入して、家を建て替えたものだが、道路面のファサードが長くなった分、圧迫感を減らすために、壁を少し後退させ、このバルコニーだけが張り出す。
ここの小さな路地は、いわば近隣の共有スペースになっており、バーベキューを行うこともあるらしい。
なるほど、このあたりは植木鉢や倉庫が道路にはみださんばかりに置いてあるし、周囲を拒絶する強固な塀はない。
施主はここに二五年以上住んでおり、建て替える前の家の二階と向かいの家の二階で、道路越しに、おしゃべりをすることもあったという。
それは道路が狭いことによって可能になっている。
住宅の構成は明快である。
ガラスと壁を交互に配置した外観。
一階は、土間、フリースペース、息子二人の部屋、二階は夫婦の寝室となる和室、リビング・ダイニング、洗面・浴室を並列して配置する。
それらのあいだに吹抜けの階段を挿入し、空気や温度を調整する機能をもたせている。
障子を開けてしまえば、視線が奥まで届く大空間になる。
生活の器としての箱であるが、機能は強く固定していない。
将来的に、一階は息子夫婦が住み、二世帯居住にする、あるいは周囲のコミュニティ空間にすることも想定しているようだ。
路地の使い方を考えると、そうした空間の浸透は決して絵空事ではないだろう。
屋上の月見台にのぼる。
ここは絶妙の風景だ。
近所の家の屋根が続く様子が広がる。
かつて施主の息子は、屋根伝いに遊ぶことも経験したという。
一方で、高い構築物として小学校をした.ここは自然に近所の目が機能しているような環境がある。
それゆえ、この住宅の建設から完成までの出来事が、いわばイベント的な祭りとなり、コミュニティの結びつきにも貢献したようだ。
隣人が大工に酒をふるまい、竣工のお祝いで新しく越してきたご近所と話し込んでなどのエピソードをきくと、孤立した家ではなく、みんなの家として誕生したことがよくわかる。
つまり、歩く人、走る人、クルマといった速度の違う物体が、絶えず移動していく。
その下に川が流れていることを想起させつつ。
敷地は、隅田川と荒川に挟まれた場所である。
一階では地的な空間、二階では窓越しの近隣とのコミュニケーション、屋上では一気に風景が広がり、ロケーションの不思議さを感じさせる。
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